ペースの予想
展開を読む上でまず重要なポイントはペースを読むということ。新聞などにペースの予想が載っているがそのペースそのものがスローだ、ハイだのというのはその通りであることは多い、しかし、その単純にハイペース、単純にスローペースというのでは、余りにも芸がなく、そしてそれほど役に立たないのである。数多くのレースを見ていればわかることだが、速ければ後方、遅ければ前とは単純には決まらない。ハイペースの中で前で残ってくる馬もいれば、スローで後方一気の追い込みを見せる馬も存在する。そしてそれは、決してないものではなく、思っている以上に発生する。では、本題に入って行こう。まず、ハイペースなら後ろ、スローなら前といった観念を捨てる必要がある。あえて、言うなら後方というのはいつも厳しい状況に置かれる。例えば、ハイペースであると後方の馬というのは追走に脚を使わされるのである。つまり、全体の流れが速い中、追走に脚を使ってしまう為、追い込むときの脚はよほどでなければ追い込むだけの脚を残すのは難しい。これは当然だろう。ハイペースで有利なのは、中団である。前は当然、ハイペースでバテる。後方は追い込むだけの脚を出すのが難しい。つまり、そのままのスピードを保ちつつ走るだけで必然的に差した形になる中団というのが最も有利と言えよう。では、逆にスローペースの場合はどうだろうか?この場合、後方は脚を十分に残している、しかし、前の馬も脚が残っている。つまり、しかも、前に脚を残した馬が居てそれを捌きつつ追い込むのだから、追い込んでも届かない。ということになる。最も展開に左右される馬というのは、逃げ馬以上に後方から追い込む馬である。ということが言えるだろう。以上、ペースによる有利な位置があるとすれば、スローならば前、ミドルペースならば前と後方、ハイペースならば中団といえる。しかし、あくまで単なる概念として覚えておいて欲しい。そして、スローでも後方一気に追い込む馬もいれば、ハイペースで逃げ粘ってしまう馬もいるのである。
ペースの読み方。
1.逃げ馬
ペースを読むために必要なポイントは、まず逃げ馬を見ること。そのレースの中で逃げる馬がペースを生み出すからに他ならない。ここでよく勘違いしやすいのは、逃げ馬が複数いるとハイペースになるとよく言われるが、決してそうではない。逃げ馬が不在の場合には、スローになるとは言えても、逃げ馬が複数いるからハイペースとは言えないのである。理由は後ほど述べるが、まずは逃げ馬。それもそのレースの中でどの馬が逃げるのか?がまずは重要なポイントとなる。これを読む場合、新聞の馬柱に書いてある“逃げ”とか“差し”とかを見るのではいけない。見るのは馬柱の中の、各コーナーでの位置取り。新聞の馬柱の能力表の中に [01-01-01-01] のように書いてある部分である。この部分に注目する。例えば過去のレースの中に [01-01-01-01] や、[02-01-01-01][03-01-01-01][01-01-02-01] などのようになっているレースが複数あれば、まずその馬は逃げ馬ではあるが。そういった馬が1頭だけの場合には、その馬を基準に考えればよい。また、まったく居ない場合や、やむなくハナに立ってレースをした場合や、他の馬が逃げる為やむなく控えている馬というのもいるので、そのレースの中で先頭に立つであろうと思える馬を考える必要がある。

そうでない場合、つまり複数逃げ馬が存在する場合に予想されるペースが問題となるわけだが、ここで必要となるのが、前の3ハロンのタイム。競馬新聞に載っている 34.5-36.5のように書いてあるタイムで、このように書いてあるならば34.5秒というのが前の3ハロンのタイムにあたる。この前の3ハロンが、ペースを決める重要なポイントになる。

そしてこの、前3ハロンをどのように見るのか?ということであるが、まず逃げ馬が2頭いたとしよう。それぞれ、[A][B]とする。[A]の馬が過去に大体 前3ハロンを33.5秒ぐらいでいつも逃げ、[B]が35.0ぐらいでいつも逃げる。となれば、Aが前を走り、Bは35秒台で競りかけるわけだから、必然的に前を行くのは[A]でしかも1.5秒もの余裕があるわけだから、この場合は[A]がマイペースの逃げとなる。

このようなタイムは極端な話であるが、例えば、[A]が前3ハロンを33.5秒、[B]が34.0秒だとしてもやはり[A]はマイペース。[B]が無理をして競りかけてこない限りは[A]が逃げる可能性が高い。ところが[A]は33.8秒、[B]が33.7秒といった僅差の場合、どちらも控えることの出来ない馬であるか、もしくはハナを奪いたい馬であった場合、ともに競り合いハナを奪い合う形となり、このレースにおける前のペースはひどい時には、33.0秒といったペースになることもある。当然、この場合は[A]も[B]も崩れてしまう可能性が高い。別のパターンでは、[A]が34.5秒で逃げ、それ以上に遅いタイムで逃げたことがない。[B]は34.5秒以上の速いタイムで逃げた事がない、もしくは控えているといった場合も[A]がハナを切ることになる。どの馬がハナを切るのか?これがペースを読むに当たりまず重要なポイント。このような感じで、逃げ馬の前3ハロンを見る。

どの馬が逃げるのかというのが把握できたら、次に行うことは、その馬の上がりを見る。過去のレースの中に、今回予想される前のタイムに対し、この馬の上がりがどの程度になるのかを考える。馬柱中の過去のレースDATAを見れば、その予想される前3ハロンとほぼ同程度の前のタイムがあれば、大体この程度の上がりを出すだろうというのが推測できる。但しこの場合、着順を見て、シンガリ負けとかの場合には、走っていない場合もあり、参考にならないので、あくまで、明らかに走っているというときのタイムを参考にする。

具体的に数字を書いて説明してみよう。
今回推定された前3ハロンのタイム→35.5秒

上がり
5走前 35.5 39.3 12着
4走前 35.2 36.8 04着
3走前 35.8 36.0 01着
2走前 34.8 36.9 03着
前走 35.2 36.0 01着

以上のような内容だったとしよう。
今回推定されているタイムは35.5秒とすると大体似たようなタイムは4走前、3走前、そして前走である。4走前には前35.2で上がりは36.8秒 3走前と前走には36.0秒を出している。つまり、ここではおおよそ36.0秒〜36.5秒程度の上がりを出せると推定できる。5走前に、35.5秒の前3ハロンがあるが、ここでは上がりは極端に遅く、着順を見ても、走っているタイムではないと判断できるので参考外。

これでまず逃げる馬のペースは決まった。全体のペースではないが、逃げる馬のペースがわかればまずは良い。この逃げ馬のペースが大切なのである。

しかし、ここでおかしいと思った人はいないだろうか?そう、前と上がりを見て中間のラップは予想に入っていない。1200mならば前3ハロンと上がり3ハロンで中間はないのでこのままでよいが、それよりも距離が長くなれば、中間のラップも問題と言える。中間のラップについては後ほど説明するが、基本的に、中間のラップというのは多くの場合あまり変化がない。(まれにあるが、あくまで多くの場合)
各馬の位置取り
逃げ馬のペースが決まったら次に考えることは、各馬がどの位置を走るのか?ここでは、大きく4つの群れ[逃げ][好位][中団][後方]に分ける。各馬の位置取りの考え方について説明したい。先ほど逃げ馬について説明したが、各馬の位置取りというのはどのようにして決まるのだろうか?あきらかな先行馬、追い込み馬というのは大体決まっているが、自在性のある馬や、前方〜後方の広い範囲で待機する差し馬。こういった馬は自分の競馬に徹するというよりは多くの場合、人気馬の位置取りに左右されることが多い。従って、明らかに前に行く、もしくは後方で控えるといった以外の馬は、まず人気馬の位置取りを見る。有力馬が先行するようであれば、マークするような形で追走していく格好になるだろうし、中団から後方に控えるような人気馬だったら、それよりも前に位置取るような形で進めたいのが理想。その馬の脚の特性を考え、人気馬を中心に前、後ろと割り振っていくと良い。専門誌の馬柱に載っている脚質も参考に考えてよいだろう。このような感じで[逃げ][先行][差し][追い込み]の4グループに分ける。ここで重要なポイントとしては、前3ハロンを過ぎると、位置取りが決まり、順序が大きく変わることなく、それぞれのペースで走る。そして上がり3ハロン手前で各馬の間隔が詰まる。そして最後の600mへと入るのである。スローであれ、ハイペースであれ、この600mに入る手前では、大体先頭から、最後方までは、10〜15馬身の範囲になる、この600mに入る時の位置取りを捕らえる。このとき、各馬の位置取りは、それぞれにゴールまでに距離の差がある。ということはつまり、タイム差があるということ。わかりにくいかな?要するに、ちょうど600mの地点を逃げ馬が通過した後、コンマ何秒後かに次の馬が通過するということだ。このタイム差は、1馬身あたり0.2秒ぐらいと考えられる。グループでいうならそれぞれのグループからのタイム差は先頭の逃げ馬を0とすれば、先行グループは0.5秒 中団グループが1.0秒 後方が約1.5秒のタイム差を持っている。ここまででもうお気づきだろうか?逃げ馬が35.8秒で上がり3ハロンを走るとすれば、単純計算で好位集団の馬は35.3秒で上がればこの馬に届く。次に差し(中団の馬)ならば34.8秒 後方の馬ならば、34.3秒で届く計算になる。これにより、ゴールの600mをどの馬が一番先頭で抜けるのかを計算する。しかし、ここで注意したいのは、あくまで概算である。つまり、これですべてが決まるわけではないのは当然で、微妙な位置取りの差もあれば、1馬身の位置取りの差が原因で着順が入れ替わることだって当然ある。つまり、この計算で読み出せるのはあくまで可能性である。0.5秒という幅で馬の位置関係を計算しているので、計算上、現われた0.2秒差や、0.3秒差は誤差範囲として考えていないと位置取りの差で惜しい間違いの元になる。ここで重要なポイントは計算を細かくしすぎず、可能性のありうる馬をピックアップすることにある。では、簡単にその読み方を説明してみよう。
読みの一例
推定逃げ馬ペース 前35.5秒 上がり36.5秒 逃げ馬は[B]
脚質(推定位置取り)これまでのレースから推定される今回の上がり

[A] 差し 34.5
[B] 逃げ 36.5
[C] 先行 35.5
[D] 差し 37.5
[E] 追込 35.0
[F] 差し 36.5
[G] 先行 35.0
[H] 差し 35.0
[I] 先行 36.5

このような状況だったとすれば。

逃げ [B]
先行 [C][G][I]
差し [A][D][F][H]
追込 [E]

となる。
で、まず逃げ馬が35.5-36.5ならば先行馬は36.0秒、差し馬は35.5秒、追込み馬は35.0秒でこの逃げ馬に届くと考える。そうやって見ていくと満たす馬は、先行馬では[C][G]、差し馬では[A][H]、追い込み馬は[E]のみだがこれは届く。そしてこの中で最も速いのは[A]と[G]、ついで[C]と[H]と言う事になる。従って、実際の場面では[A][C][G][H]が、誤差を埋め合わせても展開面ではこの馬達が有力ということが言える。ペース展開の予想の基本はこのようにして考える。こうして読むことで、スローでも追い込んで届く馬、ハイペースでも粘り込む馬が読み出せる。ただ、実戦ではこう単純には行かないので、実際の予想は後ほど実例を挙げて紹介したい。

またダートの場合、芝に比べ、時計が掛かるのだが、馬の位置取りによって発生するタイム差というのはそれほど大きくは変わらない。これまでのレースが芝だった為、上がりの推定が難しい場合やまたはその逆の場合には、芝に比べ、上がりに1〜2秒以上の変化が現われる。ダートに好走歴のある久々のダートの馬などはそう言った点を踏まえて推定していく。ただ、あまりにも調子が悪いといった要因の他は周りの馬に比べあまりに極端に遅くなる、または速くなるということはないので、補正をして判断する場合には、1200m〜1400mであれば1秒程度の変化、1600m〜1800mであれば1.5秒程度 ダート2100mであれば、1800m〜3000mでの上がりに対し1.5〜2秒程度の差が出ると考えて補正してみるとよいかもしれない。ただ、細かい点については、経験を重ね感覚で掴めるようになるだろう。

また、馬場状態によっても上がりは当然左右される。従って、過去のDATAから上がりを推定する場合、重・稍重などの馬場状態、また開催日による荒れた内を通ったのか、馬場の良いところを通ったのかなどを確認する必要がある。馬場差については、また後ほど解説したい。その場合の補正も多数のレースを予想していくと感覚的につかめるようになるはず。またその馬場状態による馬の適性によっても変化する部分があるので、そのあたりは経験を重ね、馬のキャラクターをある程度掴んでおくと良い。
各競馬場の特性と枠順による有利・不利
先にペース読みの基本を述べたが、その予想によって当然数頭の馬が浮かび上がり、取り捨ての判断に迷う。このような場合に、ペースそのものによる有利不利を考えるとともに、競馬場の特性などにより発生する枠順の有利不利などを考えることにより、例えば、前頁の例においても、[A]を内枠、[I]を外枠と仮定すれば、計算上並ぶ[A]と[G]、[C]と[H]は内枠有利な馬場であれば[A]と[C]、外枠有利であれば[G]と[H]が選択の対象となる。また、先行有利な馬場、後方有利な馬場であってもやはりその脚質を対象に判断の参考となる。

ではそれぞれの競馬場、距離別にその特性について話をしてみたい。競馬場の形状や、距離などの詳しい部分については専門の本などに任せ、ここでは特に差の出やすい所をどういった理由でどの枠、どの脚質が有利になるのかについて話す。
 ■ 東京競馬場 (注.2002年に改修工事をする為改修後はわからない。)
直線が500m、向正面から3コーナーにかけて上り1.6m、下り2.1mの坂があり、直線半ばに2mの急な登り坂がある。基本的な脚質は直線が長いことから、差し、追い込み有利ではある。

芝コース 1400m
3コーナー手前からの発走、つまりスタート直後、3コーナー手前の坂に差し掛かる。ハイペースが予想される場合、中途半端な逃げ馬、先行馬はこの坂でまず先行争いに脚を使い最後の直線でバテてしまう。つまり、ペースがスローでない限りは1400mでは逃げ馬は割引で考えていく。
芝コース 1800m
2コーナー中間の引き込みからのスタートで、スタート後緩いコーナー、そして長い向正面の直線となる。通常、スタート後にコーナーがある場合内枠の先行馬が良い位置取りを取り易くなるが、この場合、コーナーが緩く勢いでハイペースになり易い。その為か、ここでのレコードは他場のものに比べ1秒以上も速い。
芝コース 2000m
コーナーからのスタートで内枠の先行馬が有利。
芝コース 2500m
3回の坂を通ることになり、スタミナ温存の目的でペースは緩みがち。
ダートコース 1600m
コーナー奥からの発走でスタート直後、コーナーの芝部分を走る。その芝は外枠の方が長く、スタートダッシュをつけやすいのは外枠。また、こういった場合、外枠の逃げのほうが良さそうに聞こえるが、実際には外枠の差しが有利。おそらく、最初の追走に脚を使わなくて良い分、最後に伸びやすくなるのではなかろうか。
 ■ 中山競馬場
1400m、1600m、1800mは内枠の先行馬有利、スタート後にコーナーがすぐにあるこの距離はやはり内枠の先行馬が有利。コーナーも小回りのため、外枠は不利になり易い。ダート1200m、東京の1600mと同じ理由で外枠の差し・追い込み馬が有利。特にこの距離は、スタートダッシュがものを言う為、差し・追い込みともにダッシュは必要とされる。無駄に脚を使う必要がないため、ここでは特に外枠の差し、追い込みが有利となりやすく、DATAにも如実に表れている。
 ■ 阪神競馬場
全体的に基本的に小回りで、内枠が有利、外枠は終始外々を回らされることも多く、内枠の先行馬が有利になり易い。ただ、ゴール前の坂がきつく、中途半端な逃げ馬はスタミナが切れ止まってしまうことも多い。
 ■ 京都競馬場
3コーナーに坂はあるものの、幅も広く、直線には坂はない。またコーナーも大回りで時計の出やすい馬場。外回りと内回りがあり、外回りの直線は新潟、東京に次いで長い。そのため、差し有利になり易い。また、この外回りは内回りとの合流点で、内が開きやすくなり、内枠の追い込み馬も、内から伸びやすい。逆に内回りは、先行有利となりやすい。
 ■ 中京競馬場
この競馬場は1周1600mと福島とともに中央競馬場の中では最も小回りのコース。全体に先行馬有利になりやすい。芝の直線の長さは313.7m、ダートは311.9mと比較的短く、4コーナー付近で前の方にいないと、届く可能性は薄くなる。逃げ・先行馬を特に注意していたい。
 ■ 新潟競馬場
昨年(2001年)改修工事が行われ、外回りの直線は658.6mと非常に長く、コース全体の高低差は殆どない。その為、非常に速い時計が出やすく、他のコースに比べ、ここで計時された時計は少し割り引いて考える必要がある。直線だけで、3ハロン以上あるため、上がり3ハロン33秒台というのはザラで、32秒台というのも多々見られる。外回りのレースは最後の直線が長いことの他、スタート後の直線も最初のコーナーまでが長く、先行激化を招き差し馬有利となりやすい。スピードの余り無い、スタミナタイプの馬よりはスピードタイプの馬に向く馬場。
 ■ 福島競馬場
中京とほぼ同様、小回りで逃げ・先行有利。全体にほぼ平坦、コーナーがきつく時計はそれほど速くはならない。上がり3ハロンには2つのコーナーを含む為、34秒台の上がりも少ない。ここで33秒台の上がりを出せる馬はかなりの能力と見て良い。
 ■ 札幌競馬場
夏の二開催のみで使用期間の短いコース。高低差の無い平坦なコース。直線は266m、芝は洋芝を使用しており、開催中はコンスタントに移動柵を移す。そのため、ほぼ良好な状態が保たれ、福島とは異なり、小回りの割には、速い時計が計時される。こういったコースでは人気薄の単騎逃げ可能な逃げ馬は常に注意が必要となる。
 ■ 函館競馬場
コースの状況などは、他の小回りコースとほぼ同様で、逃げ・先行有利。ただ、札幌と異なる点は開催も札幌に比べ多く、開催終り頃になると馬場荒れも目立つ。また、最後の直線には下り勾配があり、最後の決め手が生き易い。基本的には逃げ・先行有利。
 ■ 小倉競馬場
293mの直線で、やはりここも小回りのコースの特徴。2コーナーから緩やかな下りとなっており、スタートが2コーナーのポケット、および2コーナーを過ぎてからスタートのある1000mは、ゴールまで常に下りで、スピードが乗りやすく、逃げ・先行馬はかなり有利。以上簡単に述べたが、各競馬場の特徴をとらえ、有利不利を見極めておく必要がある。
馬場差
各競馬場ともそれぞれに時計に違いが現われる、また、その馬場状態、[良][稍重][重][不良]の他、開催期日による馬場の荒れ具合によっても時計には変化が現われる。前3ハロンのタイムにはさほど大きな差は出ないが、中間のラップにも影響が出るし、上がりそのもののタイムもこれにより変化が現われる。過去のレースDATAから、予想の対象となる馬が、どの程度の上がりを見せられるのかは、過去のレースDATA上の上がりタイムがどのようにして出たタイムなのかを見極める必要が出てくる。これを推定するには、まずその馬が走った日の同じ距離におけるレースでの勝ち時計を見る。これが、後ほど述べる基準の時計よりも例えば、1600mで例えば分かりやすく1.6秒速かったとすれば、平均的には1ハロンあたり0.1秒ラップが速いと推定できる。するとつまり、ここでのレースDATAから得られた上がりは基準としたい上がりよりも0.3秒速いと考えられるわけだ。この0.1秒/1ハロンが馬場差となる。ただ、その勝ち馬の能力にも依存する部分は否定しきれないが、1つのレースだけで考えるのではなく、すべてのレースでのタイムを検討していくと、精度の高い馬場差を求めることができる。つまり、各条件における基準タイムを設定しておき、その日の各レースでその基準タイムに対しどの程度のタイムに差がでているのか?これが基本的な馬場差である。

具体的に話すならば
[A]の馬が、今回どの程度の上がりを見せられるのか?という点を推定する場合。条件は京都競馬場1600m芝、500万条件戦だったとしよう。今回のレースの馬場状態を考え、今回はどの程度の馬場差が生れるのかを推定する。例の場合、まずは、京都500万条件の1600mの基準タイムは 良馬場で1分35秒5、今回も良馬場で、かつ開催も真ん中あたりだとすると、それほど大きな差は無いと考えれば、今回の馬場差は0秒。次に、過去のレースでのその日の馬場差を調べる。例えば、3走前の[A]の上がりタイムが34.7秒だったとしよう。その日(3走前の日)の馬場差が0.1秒/1ハロンだったとすれば。今回の上がりは35.0秒。つまりこのレースでは35.0秒で上がったものとして、上がり推定に利用すればよい。

このようにして馬場差を上がり推定に利用する。
また、この馬場差は、その馬の能力推定にも非常に威力を発揮するので、毎レース開催日ごとに馬場差を記載して残しておくとよいだろう。そして、各競馬場による馬場差の推定だが、これはほぼ常に一定なので、これらも換算に利用するとよい。具体的には、最良の状態で東京と中山では、0.02秒/1ハロン程度の馬場差がある。もっともこの程度であればそれほど大きな差ではないともいえるが。
騎手および騎手による展開への影響
競馬の結果を左右するものに、騎手という要素がある。騎手3 馬7と言われるが、実際には5になることもあれば、1ということもありうる。能力そのものを引き出せるかどうかと言う点はもちろんだが、特に影響を与えるのは展開であろう。逃げる馬に上手く息を入れさせて逃げるのも騎手の技術であり、じっくりと脚を貯めて末脚をどこで生かすのかというのも騎手の技術。そして、騎手を見ていく上で重要なポイントは、いくつかあるが、一つには得意な脚質。そしてクセ。そしてバイオリズムだろう。

※ここで言うバイオリズムとは占いではない。バイオリズムというのは生態の(人間に限らない)調子のリズムであり占いではなく、いわゆる体調や、精神状態を指す周期的なもののこと。ただ、これについてはあまりこれと言った理論はないので何とも言い難いが。

では、騎手の読みのポイントとなる点で大切なこと。

a.得意な脚質
これは、逃げの得意な騎手、差し、追い込みの得意な騎手というのが居る。どうやって読むかという点については、彼らの成績を見ればわかるだろう。例年、騎手年鑑のような本が出ているので、それを参考にしていくのが良い。参考までに、少々例を挙げておこう。ただし、私なりの判断であるので、この点については自分なりの判断を持つようにしていただきたい。
 ■ 逃げ・先行の得意な騎手
中館、大西、横山賀、小野、郷原、菅谷、本田、内山、須貝、金折、
村山、小林徹、野元、四位など。

 ■ 差し・追い込みの得意な騎手
柴田、蛯名、田中勝、橋本広、飯田、宝来、高橋亮など。
 ■ 基本的に自在な騎手
武豊、江田照、岡部、河内、松永幹、松永昌、熊沢、太宰、秋山、芹沢など。
これらの脚質別の他、例えばプレッシャーに弱い騎手、牝馬に強い騎手、距離別、いろいろな点が挙げられる。これらはそういった本に載っているDATAを参考にまとめてみると良いだろう。しかし、ここの部分もあまりに拘りを持つことは避けたい。追い出しのタイミングがひとつ違えば、流れが変わるのだから、私自身は上記の脚質の得手不得手以外はあまり深く考えないことにしている。
厩舎コメントから読み取る展開への影響
各新聞には、各馬に対する厩舎のコメントが記載されている。それらのコメントの中には、展開に与えるを示唆するコメントが隠されていることがよくある。例えば、『前走は、揉まれて力を出し切れなかった、今回は積極策で…』、こういったコメントが読み出されれば当然、この馬は前へ行く。これまでのレースが差しだったとしてもここでは前へ行くと読めるのである。ダイレクトな表現なので分りやすいが、以下のような場合はどうだろう。『揉まれ弱いので今回からブリンカーをつけることにした、これで変わってくれれば…』、この場合、後ほど馬具の説明もするが、初めてブリンカーをつけた馬は前へ行くことが多い、ブリンカーの効果を試す意味も含め、先行策をとることが多い。逃げ馬が多く存在する場合に、『ハナにはこだわらないから、』とか『スンナリなら』といった言葉がコメントの中に含まれる場合も前者では控えめに、また後者では、極力前に行きたいことの現われとなる。こういったコメントを読むことで、時に、これまで差しであった馬が逃げたり、逃げていた馬が差しに回ったりといったことが推定できる。こういったコメントを見逃すと展開の変化をつかめなかったりするのである。展開を読む上で、どの馬がどのあたりを走るのかというのは非常に重要なポイントである。こういった厩舎のコメントは必ず目を通すクセをつけよう。
その他
展開を読む上で重要なものとして、流れ方というものを考える必要がある。例えば、単純に考えれば3〜4番手につけると考えた人気馬が有利になるスローな展開で、その人気馬が03着、逃げた馬が2頭いてそれがそのまま残ってしまうといった現象が起こることがある。特にこういうことが起こりやすいのは、差しに回ることのできる人気の先行馬が1頭。後方に数頭の有力な差し馬が居た場合。前方の人気馬が後方を警戒するあまりに、抑えすぎてしまい、結局人気薄の逃げ馬が残ってしまうといった現象である。こういった流れは、もしも自分ならこの馬にどのように乗るか?ということを考えてみる。そうすると、ある程度のパターンが見えてくるのである。他には、これまで差しで惨敗していた馬。検討していくと、切れの無い末脚に気がついた。こんな時、もし自分ならどのように乗るか?当然前に行くだろう?騎手も人間、考えることに大きな差はない。これも一つの展開予想なのである。
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